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| 芭蕉庵の跡? 江東区常磐1丁目 | |||
芭蕉庵があったとされる芭蕉稲荷。芭蕉が日本橋からここ深川に移り住んできたときには、まだ開拓途中で湿地や荒れ地の多いところだったようだ。芭蕉門人の杉風(さんぷう)の番小屋だともいわれている。 |
「旅に病み夢は枯野をかけめぐる」、こんな句を残した芭蕉が気になりはじめたのはいつの頃からだろう。自分でもよくわからないのだが、こんな句のイメージが気になって仕方がない気分になるのは、やはり仕事に疲れ、年をとったせいなのだろうか。そんな句を作った芭蕉という人の生き方が気になった。芭蕉をもっとよく知るためには、芭蕉を求めて旅をしてみるのが一番とおもい立って、「おくのほそ道」の旅に出た。 この頃の深川隠棲の時代といわれる芭蕉については、「深川の芭蕉」を参照。 |
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「芭蕉庵跡」 の石碑。バックの青竹のカラーがはげている。悲しい。 |
芭蕉稲荷の中に「芭蕉庵跡」の石碑がある。バックのプラスチックの囲いの緑の塗装がはげていて、芭蕉の風流はない。芭蕉稲荷の周りには、「芭蕉稲荷大明神」ののぼりがあげてあるが、なぜ「芭蕉稲荷大明神」なのか、少し悲しいものを感じるが滑稽でもある。野ざらしの生き方を本望とした芭蕉だから、稲荷大明神でも甘受してくれるだろうか。
「高く心を悟りて、俗に帰る」をよしとした芭蕉の生き方にとって、「俳聖」 でも稲荷大明神でも笑ってくれるだろう。 |
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墨田川のへりに芭蕉記念館が管理する小さな公園がある。芭蕉は、隅田川の川べりにただずんで、旅の空へあこがれて、漂白の思いを焦がしていたのだろうか。 |
「貰うて喰(くら)ひ、乞うて喰ひ、やをら飢(かつ)ゑも死なず、年の暮れければ |
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芭蕉の像は日本全国にたくさんあるが、どの顔もそれぞれ個性的で違っている。この芭蕉はちょっとふっくらした穏やかな顔つきをしているが、この顔が「おくのほそ道」が始まると、苦行僧の顔つきに変わっていくような気がする。 |
この時期の芭蕉の句 |
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| 下の図は森川許六が描いた「芭蕉行脚図」の部分(天理大学付属天理図書館蔵) | 芭蕉の門人、森川許六が描いた「芭蕉行脚図」が芭蕉が生きていた頃の作品であるため、実際の芭蕉の旅姿に近いのではないかといわれている。 芭蕉はあごに薄い髭を生やし、鼻がやや大きく、ふっくらとした感じ。黒い道服を着、足にはキャハンをまいて、草鞋(わらじ)をはいている。これが芭蕉の旅装束だったのだろう。 曾良が後ろにいて、いい表情で笑っている。芭蕉の表情がやや暗い。生きて帰れないかもしれない旅への覚悟を固めているといった感じ。 |
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![]() 森川許六が描いた「芭蕉行脚図」。芭蕉と曾良(そら)。 |
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芭蕉記念館の庭の石碑。「草の戸も住み代わる世ぞひなの家」 |
草の戸も住み替る代ぞ雛(ひな)の家 芭蕉記念館の庭の石碑。自然石に掘り込まれた句碑は、芭蕉の句とマッチして味がある。 |
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芭蕉記念館の庭の石碑。「古る池や蛙飛び込む水の音」 の碑。 |
そんな「草の戸」にも新しい住人が移り住んできて、お雛さまが飾ってある。小さな女の子がいるのだろう。人も住処も変わっていくものだ。 古る池や蛙飛び込む水の音 芭蕉記念館の庭の石碑。 芭蕉は、俳諧の言葉遊びや滑稽から、生活感や自然のありよう、物皆自得(ものみなじとく)の世界を表現しようとする、新しい俳諧を生み出そうと一人苦闘していた。「古池や・・・」は会心の作といわれるが、解釈は難しい。自然にしたがい季節の移り変わりを楽しみながら、質素・閑寂のうちに清貧を愉しむ心、それがわからないと芭蕉の世界は見えてこない。芭蕉の世界はやはり、いかにもしぶい。 |
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| 江戸時代前期の俳人の句が今なお人々の心をうつのは、芭蕉の句のセンスの新しさと洗練された不易の象徴的な表現のせいだろうか。表現の技巧ではなく、「造化(自然のこと)にしたがい、四時(季節のこと)を友とす」る芭蕉の生き方が句となって表出し、自然の、存在するもののもう一つの真実を見出し、表現し得ているからだろう。
芭蕉43歳、同じころの句に次のようなものがある。私の好きな句でもある。 名月や池をめぐりて夜もすがら 酔うて寝ん撫子(なでしこ)咲ける石の上 酒飲めばいとど寝られぬ夜の雪 |
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芭蕉記念館のすぐ裏手にある隅田川の様子。 |
ここでは、自分の感情を率直に表現していてわかりやすい。この感性は時代を感じさせず、ういういしくもあり、なにか心安らぐ懐かしいような味がある。これだから、芭蕉はすごい。芭蕉庵の孤独な隠遁生活の厳しい表現が、「古池や・・・」の句作を境に変わってきたようだ。「野ざらし紀行」や「笈の小文」の旅が、芭蕉の俳諧に影響を与えはじめてきたのだろう。
芭蕉記念館の裏手にある隅田川。芭蕉はこのあたりの隅田川から見送りの人といっしょに船に乗った。 |
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おくのほそ道ルート
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